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エスキス アムール

第49章 LOVELOVELOVE *

【木更津side】



空港からタクシーに乗って急いで帰ってきた。
まだ朝方だから、外はそんなに明るくない。

波留くんはまだ寝ているだろう。
だからそっと扉を開けて、音を立てないようにゆっくりと玄関へ入る。

そーっと扉を閉めて、ゆっくり振り返ると、




「……え……」



玄関で見る予想外の光景に、思わず声が漏れた。




「…んん…」


てっきり、ベッドで寝ていると思っていた波留くんは、玄関で蹲ってタオルケットを被りながら寝ていたのだ。
本を手に持っているあたり、寝落ちしてしまったのだろう。


朝方に帰ってくると思って、玄関で待ってたの?

ああ、もう。
なんて可愛いの。



キューっと心臓が締め付けられるようになって、息が苦しくなる感じ。
こんなの、初めてだ。

少女漫画の中だけの話で、女の人が夢見ている幻想だと思ってたけど。
本当にこんな現象あり得るんだ。



ドキドキしながら、波留くんにそっと声を掛ける。


「…波留くん、風邪ひいちゃうよ」

「…ん……、ん…?」

「ただいま、波留くん」

「…、きさらづ…?」


そう言って目を少しだけ開いて、僕だと分かると、可愛い可愛い恋人はふにゃりと笑う。


「ただいま」

「おかえり…おかえり…きさら、づ!」

「う…わ、」




波留くんは、寝ぼけて力が入らない身体を、思いっきり起こして僕の胸に飛び込んでくる。
その勢いで床に倒れこんだ。



あー、このままだと、ここで襲いそう。
まだ朝だし、波留くんだって仕事で疲れて十分に寝られていないはずだ。

もう少し寝かせてあげないと。
必死にムラムラとする気持ちを抑え込んで、波留くんを促す。




「波留くん、ベッドに行こう」

「ん…」


少し、ごねるかなと思ったけど、彼は思いの外すんなりと僕の手を引っ張ってベッドに向かった。












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