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エスキス アムール

第50章 甘えたい甘えられたい

【波留side】




「君か。僕と光平のせっかくのデートを邪魔した子は。」

「ちょっと…!タカ!」


苦笑いで治める木更津の横で、俺は縮こまった。



タカと呼ばれているこの人は、木更津の幼馴染らしい。


まだ俺たちが日本に住んでいた頃。

木更津が毎日知らない男と電話をして、俺が嫉妬事件を起こしていたとき、

木更津が友達と食事に行ってくるとルンルンでジャケットを選んでいたあの時の相手が彼だったらしい。

もっともその時の食事は、俺が勘違いから癇癪を起こして、木更津に断らせてしまったために、なくなってしまったのだけど。




ニューヨークに住んでいる彼は、休みの日にここに訪れた。

あの一件のせいで、一緒に住む俺をみるなり、皮肉と批判の嵐で、敵意剥き出しだ。



「せっかくニューヨークから日本にきて、年に一回楽しみにしている光平との食事をパーにされたんだ。
黙ってられるわけがない。」

「僕の体調が優れなかったんだよ。
波留くんのせいだなんて誰も言ってないだろ?」

「光平はドタキャンなんかしたことなかった。
熱出したって、今までなら無理やり来てたんだから。
他にドタキャンする用っていったら君しかいないんだよ!!」



そう言って、俺を睨む。
いや、確かに申し訳ないことはしたと思うけど、そんなネチネチと。言わなくたって…。


さっきから、俺を見るなりこれの繰り返しだ。








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