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エスキス アムール

第54章 仲直りしよう

【波留side】





「大野さん最近元気ないっすねー」


会社のみんなで昼食をとっているとき、高峰がハンバーガーを頬張りながら、軽いテンションで言ってきた。

…みんなと言っても、今ははるかちゃんは来ていない時期だから、要と高峰と俺の三人だけなのだけど。



「一時期持ち直したと思ったのに。最近またどんよりして。」

「え…、そ、そう見える?」

「え。バレてないでも思ってるんですか?
聞きました?要さん。気づいてないと思ってたらしいっすよ」

「波留は昔から鈍感だからなー」



畜生。からかいやがって。
このやろう!


と、怒鳴ってみたいところだけど、そんな気力もない。
今、俺は木更津との関係改善に必死なのだ。



「木更津さんと、喧嘩でもしたんでしょうけど。
ダメですよ、ちゃんと謝るところは謝らないと!」

「…うっせ」



部下に諭される日が来るなんて思ってもみなかった。恋愛で。


謝る謝らないの問題っていうか…
もっと、複雑というか…



とにかく、どうして木更津があんなに矢吹のことを嫌うのかが分からなければ、どうしようもない。


昨日の夜、キャリーケースに荷物を詰めていたところを見ると、今日から出張らしい。


…怖くて聞けなかったけど。


帰ってきたら、とりあえずどうしてあんなに飲んでしまったのか経緯を話そう。



それで怒られてももう、仕方がない。
とりあえずどんな手を使ってでも関係改善に努めなければ。






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