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エスキス アムール

第8章 チケット




「だってさ、
はるかちゃんが俺に求めてるのは、
優しいお客な訳よ。

いい?お客ね?

そいつがさ、
下心ありますって感じで来たら、
…俺なら引くね。」


「誰もお前に聞いてねーよ。

もしかしたら、
はるかちゃんだって
お前のこと…!」


「あー、それはないねー。」

この一言で、
彼のテンションは
ヒートアップする。


「お前にそんなことわかるわけないだろ?

大学の時、
あからさまにお前のこと好きで、

キスまでしかけて来てんのに
最後まで気がつかなかったのは
誰だよ。」


「……。」



「高校の時、
好きですって言われてんのに、
友達の好きと勘違いして、

「俺も好きだよ」なんて言って
学校中を巻き込む大闘争を巻き起こしたのは誰だよ。」



「……。」



「中学の時!


「あーもーやめてください!
分かった。分かったから。

俺は
鈍感だって言いたいんだろ?」



「そう。信用ならない。
仕事以外のお前の直感はウンコだよ。」

グサッ
何かが心に
突き刺さった気がする。


「でもさー、
今回は本っ当に、
思い当たる節がない!」


親友は、呆れた顔をしてため息をついた。








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