すべてはあの日から
第10章 一途な二人
「でもね、やっぱりまだ怖い。
面と向かったあの瞬間のドキドキ…
緊張が最大値で、口が震えてた…
またあれを味わうのは、ちょっと勇気が出ない…」
しゅんと落ち込む私の頭を、ぽんぽんと優しく撫でる。
「当たり前だ、
あとは、自分次第」
「自分…次第…」
「あぁ、
言うも言わないも、
会う会わないも、
あとは全部真央が自分がどうしたいのか、
ちゃんと考えて、後悔しない選択をすればいい」
後悔しない選択……
「もしダメなら俺んとこ来い。
目一杯慰めて、
今度は俺に惚れさせてやる」
「…うん、ありがとう」
もう斎藤さんにも会えないかもしれない。
会ったとして、何を言えばいいのかも分からない。
『あとは、自分次第』
…せめて…、
今日のお菓子、食べてくれれば…
斎藤さんがまた笑顔で「美味しい」って言ってくれたら……
もう満足だよ。