すべてはあの日から
第11章 迷走
「…はぁ?」
「ですから…」
「だって、あと2日だそ!?」
「ですから…」
「島崎、俺…」
ガタッと勢いよくイスから立ち上がった俺に、
「私用で仕事を抜けるなど、次期当主に不相応な行動は避けて下さいね」
「……チッ」
まさか婚約直前で、こんなことになるなんてな……
ドサリと背もたれにのしかかり、深い溜め息を吐く。
眼球だけを外の景色へと動かす。
すっかり散ってしまい、
まるで衰弱したかのような桜の樹の傍には、
鮮やかな黄色と赤のチューリップが咲き、
あぁ、新しい季節が廻るんだと、そう思った。