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すべてはあの日から

第12章 真っ白なマーガレット


「よし、行こう」


ゆっくりと立ち上がり、待合室の扉を押し開ける。


艶々した大理石の床を歩く度に、ヒールのコツコツという音が響き渡る。


余計なことは考えずに、ただ自分の気持ちに正直になれば良い。


それだけで、
どうすれば良いかなんて、簡単に分かることだった。



会場の前で、背の高いドアの取っ手を両手で握る。



重いドアを前傾姿勢で開けた時、



「………真央」




待ち焦がれていた、あの優しく低い声が聞こえた。


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