すべてはあの日から
第2章 夜桜パイ
だからこそ、
斎藤さんの急な提案に疑問を持ちはしなかった。
「真央、来週暇?」
「来週?」
「うん、来週、日曜日とか」
「特にこれといった用事はありませんが…」
弧を描くように唇を定め、にんまりと笑みを浮かべた。
「じゃあさ、ちょっと付き合ってよ」
「…え?」
何か企んでる!
「……だめ?」
「…っ」
な、なぜそんな潤んだ瞳で私を見るの!?
そんな目しても、
行かないんだからね…
行かな…
行か…
「………」
「………」
行かない……
「………分かった…」
はずだった…のに…
「やった!」
そんなに嬉しそうな顔されたら、断れないよ…
そう思う私は、もうすでに
斎藤さんの甘さに溶かされてるのかも…