すべてはあの日から
第4章 お母さん特製桜餅
「斎藤さん!」
出来上がった桜餅を斎藤さんに手渡すと、
待ってました、と言わんばかりに
そそくさと玉露を淹れてきた。
「あまりに待ち遠しくて 、最高級の玉露を買っちゃったよ」
そう言う斎藤さんの笑顔を見られたのだから、
私はますますお菓子作りが好きになってしまいそうです。
「へぇ~、こんな桜餅 初めてみた…」
通常巻く桜の葉を、桜の花弁の形に小さめに切り抜き
上に軽く乗せてある。
「桜の葉は 好き嫌いが別れるので、
あくまで薫り付けの役割として添えました」
「なるほど…
お皿の隅に飾りとして貼り付けておけば、
塩気が欲しくなったら食べられるし、
小さくすることで、葉の繊維も気にならない」