すべてはあの日から
第6章 夫婦のカタチ
「…眠くなってきちゃった」
「じゃあ 俺はそろそろ帰るな」
うん、と寂しげに言う夏澄(カスミ)の頭をそっと撫でる。
「また来るから、約束する」
ほっとした表情で眠りについたのを確認してから、静かに病室を出る。
結婚式について、あれこれ相談していた時だった、
夏澄が「お腹が痛い」と言い出したので、
始めはただの腹痛だと思っていた。
だが、そのうち背中が痛いと訴えるようになり
リビングでウェディングドレスのカタログを広げていた時、
夏澄が突然 吐血。
「夏澄!?す、すぐに救急車を呼ぶからな!」
そして聞かされる病名、
末期の膵臓癌