すべてはあの日から
第7章 ブルーベリーのムースケーキ
「……!」
「相当注意深く無ければ、
プロでもわからねぇくらいの味のブレがあった。
花咲は、そんなへまする奴じゃねぇだろ。
……何か、悩んでんのか?」
「……ぃ、ぃぇ」
「花咲」
全てを見透かされるんじゃないかと思うくらい真剣な眼差しで、
「溜めすぎだ。
あんまり堪えて、自分を殺すな」
「……!」
「お前の一番生き生きしてるデザートが、死ぬぞ」
立ち上がった宮下先生は、
優しく私の頭を撫でた。
じわぁ、と視界がぼやけていく。
「それでいいんだよ」
という小さな声が聞こえたような気がした。