すべてはあの日から
第7章 ブルーベリーのムースケーキ
知らず知らずのうちに硬く握り締めていた両手を、
そっと温かな体温が包み込んだ。
「……それでも、
真央様が幸せでなければ 全ては空虚なままでございます」
遠藤さんは 優しく労るような目をしていた。
「私は、真央様が真の幸せを感じられないならば、
この縁談に否定的な見解を示さざるを得ません」
「私…、本当は結婚なんてしたくない…!
だって…、だって…」
遠藤さんは、少し私の手を握る力を強めた
「…添い遂げたい方がいらっしゃるのでしょう」
きっと、遠藤さんはそのことに気付いていたんだと思う
だけど、私はそんなことは露知らず、
今になって 知った。