すべてはあの日から
第9章 想いよ、とどけ…
息を切らしながら屋敷に帰ると、
様々な使用人から声を掛けられる。
ただいまも言わず、無言で自室に閉じ籠り、
「…ハァ…ハァ…」
ベッドに背を預け、床に座り込む。
ただただ虚しかった
スーツ姿の斎藤さん…
近いと思っていたけど、実は遠かったんだ。
無理矢理お菓子の入った籠を押し付けて…
斎藤さん、
怒ったかな…
それとも、
餓鬼だと思われちゃったかな…
三角座りをしたまま、膝におでこを乗せて伏せる。
小さく縮こまり、
汗でペッタリと貼り付いたワンピースに不快感を感じながら、
ゆっくりと目を閉じた。