テキストサイズ

サイレントワールド

第7章 NEXT WORLD

全力で走ると何かが斬れる音がした。
壁が斬られたのだろうと思いまた意識を目の前のプレイヤーに戻す。
(喰らえ…!)
未来は右手の剣を思いきり振り下ろした
…ハズだった。
(…!?)
無い。
右手が綺麗に切断されていた。
思い出したように左上のゲージがガリガリと削れていく。
(くっ…。)
右腕と一緒に宙に浮いていた剣を左手で掴む。
プレイヤーはそれを黙って見ている。
そんな姿にさえ恐怖を覚える。
その恐怖を消すために剣を全力で振りかぶる。
プレイヤーは動かずにそっと微笑を浮かべた。
フードの中に隠れて見えない目から殺気が放たれた気がした。
(…!!)
ガッと震える足で全力で地面を踏みつける。
と同時にふっと耳鳴りがやんだ。
耳からクリアな音が聞こえてくる。
ヒュンッという音がさっきの音よりハッキリ聞こえる。
左腕を体の右側に動かす。
チッと左腕にダメージをうけた。
ゲージがほんの少し削れる。
それを無視して剣をプレイヤーに叩きつけるべく動き出す。
「お…オォォォッッ!!」
いつかと同じように未来の口から雄叫びが漏れた。
それを見たプレイヤーは一瞬微笑を消し
(…!?)
ニッコリと優しく笑った。
次いでその口が声を出さずに動く。
「楽しめて良かった。」
未来は大いに戸惑ったがギリッと奥歯を噛み締め剣を叩きつけた
…ハズだった。
プレイヤーはまるでダンスでも踊るかのようにふわりとかわした。
渾身の一撃をかわされた未来に隙ができる。
慌ててガードしようとした時にはもう遅く鎌が未来の胸を深く突き刺した。
一瞬遅れて刺された部分が痺れるような不快感に包まれる。
左上のゲージが一気に緑から黄色へ黄色から赤へ赤から…0へ。
目の前に
『DEAD END』
の文字が浮かぶ。
謎のプレイヤーは未来に向かって声を出さずに呟いた。
「I am HUNTER」
未来の意識はそこで途切れた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ