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Gentle rain

第8章 優しい雨

次の瞬間、エレベーターのドアが開いた。

私は警備員さんを振り払うと、エレベーターの中に飛び乗った。

「待て!」

閉まろうとするドアをこじ開け、私を捕まえようと警備員さんもエレベーターに乗ってきた。

「待ってください!警備員さん!」


傍から女性の声。

警備さんの腕の隙間から、一人の女性が見えた。

「その女の子、ウチの社員なんです。」

「えっ?社員?」

警備員さんは、その女性と私を交互に見た。

「でもこの人は、社員証持っていませんでしたよ?」

「もう!また忘れたの?だから気を付けなさいって、あれ程言ったでしょう。」

私が知らないその女性は、私を叱った。

「……すみません。」

そして警備員さんは、私が謝るのを見ると、掴んでいた私の腕を離し、エレベーターから降りていった。


再びエレベーターの扉が閉まる。

「ありがとうございました。」

私はその知らない女性に、深々とお辞儀をした。

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