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Gentle rain

第8章 優しい雨

「敦弥さんに会わせて下さい。」

菜摘さんが、私から身体を離すと、私たちはお互いの顔を見た。

「直接、敦弥さんから話を聞きたいんです。」

数秒後、菜摘さんは立ち上がると、エレベーターの最上階のボタンを押した。

スーッと、敦弥さんがいる最上階まで、エレベーターは昇り始める。

3階、4階とどんどん昇っていくエレベーターの中で、私の胸の中は不安と恐怖でいっぱいだった。


どうしよう。

菜摘さんの言っていることは、本当は正しくて。

敦弥さんから、きっぱり別れの言葉を言われてしまったら。

そんな事を思うと、私の胸は押し潰されそうになっていた。


やがて、チンッという音がして、エレベーターの扉が開いた。

「着いたわよ、美雨さん。」

私はフラフラになりながら、壁伝いに身体を立ち上がらせると、バッグを持ってエレベーターの外に出た。

そして、一歩ずつ敦弥さんのいる社長室へと、歩きだした。

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