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その日の夜は、森川社長の家で、ホームパーティーが催された。

森川邸には、あの日本庭園の他に、洋風の庭もあって、そこで社長のお知り合いの方々が、銘々に好き勝手に盛り上がっていた。


「おお、階堂君！」

出席者の中で、俺が来た事を一番最初に気づいてくれたのは、森川社長だった。

「お招き頂いて、ありがとうございます。森川社長。」

「いや、この前のね。美味い物のお礼だよ。」


何か貰ったら、何でもいいから返す。

経営者というのは、自然にそういった事ができる人間なのかもしれない。


「一見年寄りばかりの集まりだと思うだろうがね。君みたいに若い者も呼んでいるんだよ。」

「そうなんですか？」


普段は地位や財産がありそうな中年親父達に囲まれている印象がある森川社長なのに。

積極的に若い人材に話しかけていた夏目の父親とは大違いだ。


だが周りをチラッと見渡して、その意味がわかった。