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同じ空の下で

第7章 秋桜

母を想うとき
必ず一緒に秋桜の花が浮かぶ

薄いピンク色の
幼い私の胸の高さまであるような花が

風に揺られて

その中で
母の束ねられた長い髪も風に吹かれてる

花が好きだった母によって
庭には沢山の草花が植えられていて

その中でも秋桜は母がとても好きな花だった


線が細くて儚げなその花は

花の後に沢山の種ができて
毎年こぼれた種で芽を出して

自由にあちこちで花を咲かせると

母が教えてくれた



今は

秋桜の花を見ると

懐かしかったり

また今年もこの時期になったんだと

胸の奥がチクリとする


この季節は特別
秋桜の花も特別


そのことを思って
毎年、家族のところに行くときには
菊ではなく秋桜の花束を買う

濃淡のあるピンクの花束は

そこに行くまでの間
私の揺れる心の中をカムフラージュしてくれる

そんな気がする

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