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3月の僕たち

第1章 雑談1

僕は岡田泰弘(オカダヤスヒロ)、18歳。
先週、中高一貫教育の藤蔭学園高校(男子制)を卒業した。

今日は『卒業おめでとう・打ち上げ会』という名目で、同級生の犬養大(イヌカイダイ)の家に遊びに来ていた。

ダイのマンションは3LDKのペントハウス。しかも本宅はパリにありここは単にダイの下宿だという。
大学の講師とかで毎月帰国する父親もここを日本での拠点にしているらしいが、一年の大半をダイひとりで生活しているらしい。

ダイは東京に大学が決まって、既に引っ越しの準備を始めているようだ。


中高一貫教育の藤蔭学園にわざわざフランスから入学してきた理由は初恋の人を追いかけてとか・・・・・・。
男っていうのは夢を追いかけてしまうものなんだよね。
思い出が捨てられないっていうか・・・・・・。



「もうすぐホワイトデーかぁ」


中学に入学して6年来の・・・山口圭一(ヤマグチケイイチ)が意味深に僕にもたれ掛ってきた。
務めて彼の行動には構わない。


「上出君なんかバレンタインに沢山もらったんだろう?」

「まあ、共学なんで義理にいくつかは・・・」


 この謙虚な返事をする男は上出倫典(カミデミチノリ)君。

県下一の進学率を誇る県立月陵高校の2年生。
長身で逆三角形体型がカッコイイ。
漆黒の髪と切れ長の目をした剛毅な中にも知的で温かい雰囲気のある不思議な男だ。

そんな彼なら女の子にさぞモテるだろう。

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