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Tears ~緑のしずく~

第11章 花水木の咲く町で

小さな子どもたちが
 たちまち私たちの周りに
 集まってきて

あなた 相当焦っていた
 ふだんは どんなことにも
動じないあなたが
 あんな風に狼狽えるのに
私 驚きもしたし
  嬉しかった

あなたの心を動かすことのできる
 女は私ひとりだけだと
 自分を誇らしくさえ思った

 付き添っていた保育園の若い先生が
 困り果てて子どもたちをなだめていた

 あなたもいつになく頬を染めて
 当惑していたけれど
私の心は歓びに震えていた

  
 
 

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