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Tears ~緑のしずく~

第16章 凛として~花のように生きる~

日は流れ

 理想や夢だけでは けして生きてはゆけないことを身に滲みて知った

 それでも 自分はやはり一輪の花だと思う

 きれいだとか そんな意味ではなく

 谷間で人知れず花ひらく―そんな目立たない地味なところが

 ひどく似ているように思えてならない

 雨の降る日も 風の吹く日も 折れそうになりながらも

 前を向いて咲く花

 たぶん 人は誰しも一生に一度 自分だけの花を咲かせるのだろう

 咲き誇る大輪の花もあれば

 野辺にひそやかにひらく雑草のような花もあるだろう

 だが どの花も精一杯咲くからこそ美しい

 華やかだとか 派手だとかという次元ではなく

 一生懸命に力を出し尽くして咲くから 美しいのだ

 それは生命の輝きともいえるかもしれない

 小さくても良い 目立たなくても良い

 一生かかって咲かせた花は自分だけの花だから

 貴く清らかな至上の花

 私もいつか そんな花を咲かせてみたい

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