
社長様のモノ
第2章 二人の関係
少しでも動いたら 唇と唇が触れ合うくらいの距離。
社長さんの、黒くて魅力的な瞳が 私を吸い寄せそうだ。
それくらい、見入ってしまう。
「着替えようか?杏樹」
私の耳にかぶりつくかのような素振りをして、耳元でそう呟いた。
話した時の息が、耳にかかって ピクンと体が動く。
私を覆っていたブランケットを パサッと床に落とし、
私の前に垂れていた横髪を、大きな手ですくい上げた。
その髪を耳にかけて、首に顔を近づけた。
何故か、その手を払う気には なれなかった。
本当は、思いっきり払いたいはずなんだけれど、体が言うことを聞かない。
今の私は、社長さんの言いなりだと思う。
