センシティブ♥ボーイ
第18章 僕の好きな人
「食わねーならもらうぞ?これ」
「あ…っ」
聞いても何も言わないから諦めた。
箸で卵焼きをようやく挟んだと思ったら、またそこでぼーっとしているので、そのまま噛み付く。
やっぱうめーな。
佐藤の母さんの卵焼きは。
他にもなんか食いたいなー
弁当の中を覗こうとして、佐藤が視界に入って固まった。
…………?!
「え…どしたの」
「…~~っっ」
佐藤の顔は真っ赤だ。
………は…?
頭の中はハテナでいっぱい。
なんかいけなかった?
いやいやいやいや。
だってこんなこと前にもあったよな。
卵焼きを佐藤の箸からもらうことなんてここ最近しょっちゅうだ。
「佐藤……?」
熱あんの?
風邪でこんなに赤くなってんのか?
真っ赤にゆでダコのようになっている佐藤の顔に手を伸ばす。
「あ…っ」
けれど、その手は佐藤によって払いのけられて。
「ご、ご、ご、ごめん…っ」
予想だにしなかった佐藤の行動に俺が固まっている間に、佐藤は弁当を置いたまま屋上から出て行ってしまった。
……なんなの、あれ。