センシティブ♥ボーイ
第31章 一人はダメ
そうしたら…鈴木くんと過ごす時間が増えるなあ…
なんて、考えて頬が緩んでしまう。
変な人に思われちゃわないように、慌てて頬を自分の手で押さえる。
それにしても暑いなあ…
顔に垂れてきた汗を拭うためにメガネを外す。
タオルでメガネをゴシゴシとこすって、額に浮き出る汗を拭った。
あ……鈴木くんかな…?
後ろに気配を感じて、緩む頬を抑えきれずにニッコリしながら振り向くと、
「や、ややややややっぱり……っ」
「………わ……っ」
鈴木くん、とは似てもにつかない、僕と同じメガネをかけた、全く知らない人が頬を赤くして目の前に立っていた。
だ、誰…っ
背は僕よりも高いけど…鈴木くんよりうんと低くって、たくさん汗をかいて、息を荒げている。
なんだか…汗臭い……
僕の匂いかな…っ
慌てて自分の匂いを嗅ぐけど、今日一日冷房の効いたところにいたし、汗をかくポイントは今しかない。
汗臭くなるほどではないはず…だよね…?
じゃあ…やっぱりこの人が……
「き、きききみは…っなんていう…っ名前…っ」
「え…?えと…佐藤……です」