センシティブ♥ボーイ
第36章 偏差値より人間力
「でもさ、そんなに悲観することでもないよ聖司。」
「そうよね?健司さんもいってたもの!すごいって!」
「…。」
坂本の前向きな発言を聞いて、ふらっと顔をあげる。
「お前が目指してるところ、どのくらいだっけ?」
「62」
「で、今お前は…」
「55」
「頑張ればいけないこともないんじゃね?」
そうかもしれないけど。
俺が通ってる高校は進学校だ。
同級生は偏差値70代の有名どころを狙ってるやつらが多い。
俺も一応そんなやつらが集まっている高校に受かって入学しているわけだけど。
まさか、そんなに差があるとは思っていなかったのだ。
「…なめてた…。」
「そんなもんだろ。サボってたんだから。」
ぐさりと坂本の言葉が突き刺さる。
まあ自業自得なんだよなー…
「むしろ、そんなに出来ると思ってなかったよ。」
「……デリカシーって言葉知ってる?」
ピンポーン
「あらあらあら、聖司の元気の源のご到着かな?」
母さんの機嫌の良い声が玄関先で響いて。
ガチャリとドアの開く音がすると、可愛らしい声が微かに聞こえた。