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俺の愛した女

第21章 彼女と共に

「野上みなみさーん」俺は何度目かの名前を呼ぶ。

「しつっこい!離婚しちゃうわよ?」出たよ伝家の宝刀が。
結婚したことでニューバージョンなのが嬉しい。

彼女は仕事を始めた。職場でも「野上さん」と呼ばれているだろう。
左手の薬指には、今はプラチナのマリッジリングが人妻を主張している。

これで悪い虫はつかないな。

そう思いながらも、彼女が人妻だった過去を思い出す。

俺も今は、あの頃の冴木と同じ立場だ。
仮に彼女が俺以外の男と恋に落ちたら、それはあの頃の俺だ。

そうならないように…

彼女を縛るのではなく、ずっと愛していこう。

彼女は繊細な心を持つ寂しがりやだからね。

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