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小春食堂【ARS】

第29章 そんな俺も俺【雅紀】

小春ちゃんの食堂を出て、営業所に出勤する。

『彼女と仲直りできるといいね。』

小春ちゃんが言ってた。
そうだな、俺、ちゃんとみっちゃんに謝らないと。
楽しいはずの同窓会を台無しにしちゃったから。

今日の配達は、北川さんちから。

いつものようにトラックを停めて、インターホンを押す。

あれ、返事がない。

「北川さーん、グリーン急便ですー!お荷物お届けに来ましたよー!」

玄関前から大声で叫んでみるが、反応なし。

「おかしいな…。」

いつもみたいに、日時指定の娘さんからの荷物。
北川さんにも、娘さんから連絡いってるはずなんだけどな。

俺は何度かインターホンを鳴らし、大声で呼んだが北川さんちは静まりかえったまま。

嫌な予感がする。

俺は玄関横の庭から裏の縁側にまわってみる。

「北川さーん!」

縁側のガラス戸から中が見えた。

畳の上に倒れているのは…、北川さんだ!

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