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小春食堂【ARS】

第38章 追いかける【小春】

だんだんお金も底をついてきて、でも大野さんは見つからなかった。

うちは、銀座のクラブで働きだした。

祇園のクラブに勤めていたと嘘を言ったら雇ってくれた。

芸妓であることは隠した。
名前も変えた。

東京にも祇園のお馴染みさんがいるから、バレるわけにはいかへんかった。

バレたら連れ戻される。
大野さんに会うまでは、絶対に京都には帰りたくなかった。

仕事は問題なくできた。
クラブのマナーを理解したあとは、お座敷で培ったもてなしの心で接客した。

指名もついて、クラブの人気ホステスになった。

数年間銀座で働きお金を貯めて店を辞めた。

そして、住宅街の路地の奥で食堂を始めた。


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