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小春食堂【ARS】

第39章 小春食堂【小春】

小料理屋の空き店舗を借りて店を始めた。

店には、大野さんがくれた絵を額縁に入れて飾った。

路地のある風景は、京都の街を思い出させた。

開いた食堂には、看板は出さなかった。

祇園のお馴染みさんに見つかるのが怖かったからや。

名前は、小春を名乗った。
大野さんが私を見つけられるように願いを込めて、名前は変えなかった。

少しずつやけど、お客さんもついた。
近くのビジネスマンやOLさんが来てくれた。

看板のない隠れ家的な雰囲気が結構好まれた。

時々、店や料理を写真に撮る客が出てきた。

ブログで広まれば、大野さんがこの店を見つけてくれるかもしれへん。

でも、祇園のお馴染みさんに見つかるかもしれへん。

うちは、写真撮影やネットの投稿を断った。

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