無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

５２『嵐』


ゴロゴロゴロ…


ザザァー！




雨の中を森の入口までやって来た男は、森の奥深くで微かに揺れ動く明かりを見た。


｢あの明かり…間違いない！こんな所をあんな頼りない灯ひとつでゆけるものなのか!?
なんてことだ…グレイス、君は魔女にでもなってしまったのか？｣



男は微かに揺れ動く明かりを追って森の奥へと進んで行く。




｢うあっ！
ぬかるんでる！｣



森が雨風をしのいでくれるおかげで森の中は静寂に包まれていた。



｢ふうー…｣

動きにくさと暑さから男は雨衣を脱いだ。









私の妻が…
彼女が次第に私に心を開くようになった頃

ある日、町の者が私にそれとなく語りかけてきた


どうやら彼女はこの森の中で大切なものを失ってしまったらしいのだ