テキストサイズ

ひざカックン

第10章 キヅナ


そして、年月は経って、僕はオジサンと呼ばれるような年代になった。

営業で外回りをすれば、足は疲れるし、疲れは取れにくい。

肩も凝る。

梅雨時で、雨は降らずとも、どんよりした雲が空を覆って、鈍い日射しが空気を蒸している。

額に油のような汗が浮く。

煙草を吸える場所も減った。

すれ違う若い女の子のホットパンツ。

ちょっと間の目の保養。

交差点で、点滅する歩行者用の信号機。

走る気なんて起こらない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ