不良に良好
第2章 2
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「さむ…」
秋風が体を撫でる、というよりか引っ叩く。
俺は最近できた駅近のコンビニで2つあんまんを買って
、
その内の1つをコンビニの前で食べていた。
手の中だけに広がる熱に、思わず頬ずりしたくなる。
あいつ遅くないか…事故とかじゃないだろうな。
いや違うか。俺が早く来過ぎたのか。
「ハー…」
「か、海崎くん、待たせてごめん。」
「うわっ」
死角から話しかけられ
危うくあんまんを落としそうになった。
「ビビった…あ、ハイこれどうぞ」
俺はかじりかけではない方のあんまんを取り出す。
当の佐山は、目が点になっていた。
「あ!!!ありがとう、お、お金!!」
「サイフ出すの面倒だしいいから。これ食べて身体あっためてから行こうよ」
佐山は手渡されたソレをしばらく眺めて、意を決したように小さくかじった。
「ありがとう…」
たった100円で、あのもやしが笑った。
ウチの母親なんかブランド買い漁っても満足してないのに。
「別に…」
俺はあんまんを食べ終わり、胸か腹か、身体の内側が熱くなるのを感じた。