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サバイバルヘルパー

第10章 嵐と小梅

 ポツ……ポツ……


 顔になにか冷たいものが当たる。


「ん?」


 俊輔は目が覚めた。


 雨が降っている。


 俊輔はあわててテントに入る。


「ありゃりゃ、降ったねぇ。婆さんのところは大丈夫かな?」


 だが、まだ外は暗い。小梅がいる木の下には、雨で漏れてないかが気になる。


「婆さん、いるか? テントにおいで」


 呼んでみたが、返事がない。


 徐々に降りが強くなる。


 やがて、テントの中にまで、雨が吹き込んできた。


「うわっ!! 冗談だろ」


 だんだん、雨がキツくなってくる。


 ここに来て、異常なほどの降りになってきた。



「おいおい、冗談じゃねぇぞ!! 前のどしゃ降りの雨とはレベルが違うじゃねえか!!」


 次第に雷が鳴り出した。


 激しい閃光とともに、けたたましい轟音が耳にひびく。


「うわ、マジなやつだ。アカンアカンアカンアカン……ばあさーん!! ばあさーん!! どこにいるんだ!!」


 小梅を呼ぶが、その声は雷音によって、かき消される。

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