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sugar-holic

第3章 顔合わせ

商談も済んで、浅野企画を後にして。

飴を一粒口に放り込んだところで、倉田くんが口を開いた。

「平谷…次長に『梢さん』って呼ばれてるんですね」

「え?何で?」

「浅野社長が言ってたんで」

あぁ…そうだっけ?

「次長と、仲いいんですか?」

「まあ、それなりに」

「へぇ…」

特別に仲良いわけじゃないんだけどね。

名前で呼ばれてるのも、松岡姓の人が他にもいたからで…。

でも仲が悪いって事はないから、適当に答えてしまう。

「俺も、『梢さん』って呼んでいいですか?」

倉田くんの唐突な申し出に、口の中の飴を飲み込みそうになってむせた。

「大丈夫ですか!?」

「うん、平気」

咳払いをして、落ち着いてから

「名前で呼ぶのは駄目」

「何で!? 」

何で…って…。

「年下、部下。それ以上の理由がいる?」

キッパリ言い切ると、倉田くんは笑って

「意外に堅いんですね」

意外?

今までどう思われてたの!?

「倉田くん」

「あ、次、㈱村田ですよ。メモ見とかなくていいんですか?」

倉田くんに先手を打たれて、そこで話が終わってしまった…。

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