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桜並木を見おろして【ARS・O】

第11章 マンション【智】

深夜、アトリエは静かだ。

この研究所は、昼間は主婦や年配の人向けの絵画教室やキッズ向けの教室、夕方からは美大を目指す学生のデッサン講座を行っている。

学生たちがいる間はわいわいとにぎやかだが、奴らが帰るととたんに静まり返る。

数名の講師がいるが、みんな授業が終わって帰った。

俺ひとりが残ってアトリエで絵を描いている。

アトリエの窓を開ける。

蒸し暑い空気がどっと入ってくる。

静かな住宅街の夜空に、細い月が見える。

「いい月だな。」

俺は月をながめた。

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