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「あやちゃん…！」


俺は大切な人の名前を呼びながら…その華奢な身体を強く抱き締めた。


綾香「マーくん…」


彼女の腕が俺の背中に伸びる。


「どうして言ってくれなかったの…」


綾香「………私の為に…マーくん無茶しちゃうと思ったから…だから…」


「………あやちゃん…」


簡単に人を捨てる人なんだと…そう思った。
酷い女だって自分に言い聞かせて…恨んで忘れようとした自分が恥ずかしい…。
俺は…彼女に守られてたなんて…。


「………俺も…ずっと忘れられなかった…忘れようとして色んな人と付き合ったけど…深入りするのが嫌で…頑張っても長続きしなかった…ずっと…君が俺の中から出て行ってくれなかったから…」


綾香「マーくん…」


「あやちゃん…愛してる…もう一度…俺とやり直そう？」


綾香「マーくん…良いの？私なんかで…」


「私なんかじゃない。あやちゃんが良いんだ…あやちゃんじゃないと駄目だよ…」


綾香「マーくん…私も…マーくんを愛してる…」


「やり直そう…もしまた同じ様な事があったら…その時は俺が守るから…あやちゃんの事…命懸けて守るから…」


綾香「やだ…命懸けるなんて言わないで…マーくんを失いたくない…」


「………あやちゃん…」


綾香「今度は逃げない。私もマーくん守るよ。違う方法で…マーくんを守る…」


「………うん…一緒に頑張ろう？頑張っていつか…俺のお嫁さんになって？」


綾香「………マーくん…」


「駄目？」


あやちゃんは…泣きながら何度も頷いた。


「あやちゃん…！」


綾香「マーくん…！」


「ふっ、うぇぇん…あやちゃぁん…！」


綾香「ふふっ、もうマーくん…そんなに泣かないで」


「だってぇ…あやちゃん…あやちゃん…」


綾香「はいはい」


もう二度と見られないと思っていたこの光景。
俺の…1番大切な人が…目の前で笑ってる。


もう…離れない。離さない。
あやちゃん…愛してる。


俺は顔を寄せ、彼女にそっと口付けた。