テキストサイズ

君と僕の見ている風景

第17章 忍び寄る影

ー翔sideー


「はぁ…疲れた…」


撮影を終え、楽屋で衣装を脱ぎながらため息をつく。


携帯を開くと潤からのメールが入っていた。


『お疲れ様。さっき帰って来たよ。
明日の仕込みして待ってるから。気を付けて帰って来てね。愛してるよ』


「ふふっ」


愛してるよの文字についつい顔がにやけてしまう。
どんな過酷な撮影でも…潤のメールだけで疲れが消えてしまう気がする。
潤はやっぱり俺の無敵の活力源だ。


明日は…やっと太陽の誕生日。
松本家に俺の家族も集まり太陽の初めての誕生日をお祝いしてくれる。


………こんなに幸せでいいのかな。


『今終わったよ。もうすぐ帰ります。
仕込みありがとう。俺も愛してるよ』


メールを返した後、俺は急いで帰る準備をした。


コンコン、と楽屋の扉を叩く音がする。


「………誰だろ」


俺は上着を羽織りながら扉を開いた。


横山「あー良かった。翔くんおった」


「ヨコ」


横山「ごめんな。これ…渡したくて」


目の前に立つヨコが小脇に抱えた大きめの箱を俺に差し出した。


「え…」


横山「迷惑やったら…ごめんな。明日太陽くんの誕生日やってマネージャーに聞いたから。やから翔くん撮影休みやってんな」


「あ、うん…」


横山「太陽くんに誕生日プレゼント。つまらんもんやけどよかったら…」


「え…いいの?」


横山「うん。あ、でも期待せんといてな?大したもんやあれへんから」


「そんな事ない…。わざわざありがとう。じゃあ…遠慮なく…」


俺は頭を下げて箱を抱えた。


「ヨコ…本当いい奴だね」


ヨコ「いやいや」


「俺…セリフも多いし今回いっぱいいっぱいでさ…独りで籠ったりしてるでしょ。でもヨコが居るから…現場の空気いいし…皆仲良くしてくれて。本当ヨコのお陰」


ヨコ「翔くん…」


「ありがとうヨコ。本当…大好きだよ。良い仲間に恵まれたと思ってる」


ヨコ「………仲間…」


「ん?」


ヨコ「あ、いや。大して何もしてへんのにありがとうそんな風に思ってくれて。ごめんな引き留めて。じゃあお疲れ。また明後日」


「うん。本当にありがとう」


そしてヨコは手を振りながら楽屋を後にした。


そしてそのまま俺も…潤の待つ家へと帰った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ