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君と僕の見ている風景

第5章 結婚までの道のりー後編ー

「父さん…父さんにとって俺は…情けない存在だったの…?」


翔父「………」


父さんは何も言わずに黙っていた。


「………確かに…中2の時勝手に事務所に履歴書送った…高校いっぱいまでって約束だった芸能界も…今までずっと続けてる…それは…ごめんなさい…」


潤「翔。落ち着いて」


隣で止めようとする潤の制止ももう俺には効かなかった。


「でも…それが情けない事なの?芸能界で頑張っていこうって思う事が情けない?潤と…好きな人と結婚して…好きな人の子供を産みたいって事が情けない事なの?」


翔父「………」


「それならもういいよ…父さんに認められなくてもいい。俺は潤と結婚するから」


潤「し、翔…!」


慌てる潤の腕を掴み強く引っ張る。


「潤帰ろう。父さんに何言っても無駄だよ」


潤「無駄って…翔ちょっと待って!駄目だよちゃんと話し合おう」


「嫌だ。俺はもうここには居たくない。父さんの顔今は見たくない!」


父さんは何も言わずに俺達を見つめていた。
どうでも良いのかよ俺達の事なんて…。


潤「翔!こんな終わり方駄目だよ。ちゃんと話し合おう」


「嫌だ!帰る!!」


潤「翔!!」


潤の大声に思わず動きを止めてしまった。


潤「………翔。こんな終わり方は俺は嫌だ。皆に祝福されて結婚したい。だから…俺は分かってもらえるまで諦めないよ」


「潤…」


潤はこんなにも優しい。俺の為にこうやって頑張ってくれてる。
でも…父さんの性格はよくわかってる。
こうなれば絶対に折れない。
それに俺にだって意地があるんだ。


「もういい。車で待ってるから早く来て」


潤「翔!」


潤のポケットからキーケースをもぎ取り、俺はリビングを出て行った。


舞「お兄ちゃん…大丈夫?」


修「兄ちゃん…もう帰るの?」


扉の向こうで待っていた舞と修が俺の後を追って来た。


「うん…暫くは帰れないかもな。ごめんな」


何か言いたそうな2人の頭をポンと撫で、俺は玄関の扉を開いた。

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