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Starlight Kiss

第13章 帰って来た男

初めて見た翔のあんな表情。


あの男性は…翔に怒鳴られ「また来る」と言い残して帰ったけれど…。


翔は午後の仕事もあまり手につかない様子で疲れきった様子だった。


雅紀母「雅紀」


片付けをしていた俺の隣に静かに母ちゃんが立った。


雅紀母「昼間来た人…知ってるの?」


「いや…初めて」


雅紀母「もうここいいから。早く帰ってあげて?」


「うん…じゃあそうさせてもらうごめん」


雅紀母「また明日ね」


「うん。おやすみ」


俺はキッチンの父ちゃんと祐輔に声を掛けて自宅へと帰って行った。










「ただいまー…」


翔「お帰りなさい」


パタパタと翔が玄関に走ってくる。
笑顔で迎えてくれたけど…その表情には陰りがあった。


「舞ちゃんは?」


翔「うん…。もう部屋に居るよ」


「晩飯は?」


翔「………いらないって」


そのまま翔は口を閉じ、俺の手を握り玄関へと歩いた。


「………」


リビングに入ると…俺は後ろから翔を抱き締める。


翔「………」


「あれ…見える?」


壁に飾る婚姻届を指差す。


翔「………うん…」


「………今までさ…翔の色んな過去…見てきた。そのどれもがかなりヘビーでさ…何度も面食らった」


翔「うん…」


「………それ見て…それでも翔と一緒に居たいって思ったんだよ。何があっても…生涯添い遂げるのは翔しか居ないって。今でも…その気持ちは変わらないよ」


翔「………」


「病める時も…健やかなる時も…決して変わらぬ愛を誓ったでしょ」


翔「………うん…」


「………じゃあ…話してくれる?」


翔「でも…また雅紀に迷惑かける…雅紀だけじゃない。お義父さんお義母さん…祐輔くんまで巻き込む…」


「そんな事…迷惑だと思うかなうちの家族が。確かにすげーおせっかいだけどさ」


翔「………」


「話したくないなら皆には話さない。でも…俺には隠し事…無しだよ」


翔「………ん…」


コクリと頷き、翔が正面から俺を見つめる。


翔「………あいつは…あいつは…」


「うん」


翔「………俺達の…父親…」


そして俺は…2人の壮絶な過去を翔の口から聞く事になったのだった。

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