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第1章 わたし


私。

私って、何だろう。

そう思い、テスト対策にまとめていたルーズリーフの端に書いていく。


私ーー人間ーー檜山 彩(ひやま あや)ーー


そこから、出てこない。

トン、トンとシャーペンの先で顎に当てる。

…ああ、でも、私は私なんだ。
どこの誰でもない。
檜山 彩だ…。


そう、頭の中で思考を巡らせて、たどり着き、なんだかがっかりした。

結局、私は檜山 彩で、どこの誰にもなることができない。





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