ねがい*ごと
第1章 プロローグ
「おはようございま〜す!」
とあるオフィスビルの一室。
私が元気よく入っていくと、
「ご苦労さん!いつも早いね。感心するよ」
「おはよう亜沙美ちゃん」
社長と社長の奥さんが、にこやかに声を掛けてくださる。
私はロッカーに自分の荷物をしまい、席に着いた。
まだ少し早いせいか他の社員は来ていなくて。
社長は新聞を読んでいて、
奥さんは観葉植物に水をやっていた。
この会社は、営業の男性社員が4人と、事務の女性2人(私も含め)だけの中小企業。
社長の奥さんは大変面倒見の良い明るい人なので、みんなは安心して楽しく働いている。
私は離婚後すぐ、この会社へ入れたことに感謝していた。