ねがい*ごと
第7章 新出発
私は優矢に腕枕をされながら、ポツリとつぶやく。
「あの子…」
「ん?」
「あの時確かに、私聞いたの」
優矢は私の前髪を指ですくって聞く。
「何をだ?」
「違うよママ…って、私があの子と行こうとしたのを止めたの。いったいどういう意味たったのかな…?」
「そうだな…。
でも、数日間だったけど、亜沙美に遊んでもらって幸せだったに違いないよ」
「ほんとにそう思う?」
「ああ」
「…また会いに来てくれるかしら。会いたいな…っ…」
「亜沙美」
私の目尻を伝う涙を、優矢はそっと拭った。
少女はあの夜以来、
2度と私達の前に現れる事はなかった。