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ポシェット

第10章 胎内時計


死ぬなら海がいい

養分と死骸が混じり合った塩水は
まるでママの羊水みたいだ

キタナイものとキレイなもの
全部いっしょくたにして
荒波に押し流してもらえたら
本望だなって思う

子宮を押し広げて
頭から突っ込んで
背中を丸めて
膝を抱えて

還りたいのはボロいアパートではなくて
抱かれたいのは汗臭い男の胸板でもない
もっとふわふわ優しい場所

それで今度は

胎内で生の脈動を聴きながら
温かい体液にまみれて

祝福されて産まれてきたいな

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