
ポシェット
第13章 愛しい人
あなたは男
わたしは女
それだけが
救いのような気がしてならない
違うカタチで生まれたことに
何かしら意味があるんだろう
年を取るにつれ色濃く表れる性の差は
私に幾筋の希望をくれる
神様の単なる気まぐれじゃないって
お願いだから信じさせてよ
ただ保身が欲しかった
愛と信じて疑わない
揺るがない真実を見極めたかった
いつか指輪を外す日が来ても
君に書いた手紙が
ただの紙屑に成り下がっても
言葉の奥深く
残るのは愛した
愛された軌跡
あなたは男
わたしは女
馴染みの居酒屋で
酌み交わした酒も
シーツを掻き抱いて
眠った夜も
携帯のランプも
温かい心臓も
震えるほど愛した人だもの
愛しい人だもの
愛しい人、なの
