
ポシェット
第2章 人形
ニンゲンはいいな
嬉しい時に笑えて
悲しい時に泣けて
ムカついたら怒って
好きなヒトの前で照れて
感情のままに変わる表情がある
行きたいところに行けて
書きたいものが書けて
誰かと話ができて
生きて死ぬことができる
ニンゲンはいいな
ボクなんて
嬉しくても悲しくても
いつも無表情
言葉だって話せないから
かわいい子を見つけたって
声かけられないんだよ
あの子に買ってほしいのに
小さなガラスケースの中から
見つめることしかできないんだよ
店のおじさんに
抱きかかえられなきゃ
ココから出ることもできないんだよ
ニンゲンはいいな
ニンゲンに生まれただけで
きっと人形(ボク)たちより幸せ
