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ペットではなく家族です。
第7章 葉子の場合
葉子「ねぇ寛一」
寛一「…」
葉子「ねぇ寛一、遊ぼうよ」
寛一「…」
葉子「寛一?」
寛一「…」
あれから
もう何週間も経っていたが
葉子は人間の姿のまま元の蛇の姿に戻る
事はなかった
葉子「ねぇ遊ぼうってば」
寛一「…葉子」
葉子「?」
寛一「お前さ…」
ピンポ~ン(インターホンが鳴る音)
葉子「誰か来たみたい」
寛一「…」
葉子「出ないの?」
寛一「…あぁ」
ピンポ~ンピンポ~ンピンポ~ン
葉子「うるさいなぁ」
寛一「…はいはい…今出ますよ」
動きたくなかったが
あまりにしつこく仕方なく出る事に
だけどそこにいたのは寛一が一番嫌いな
この世で一番会いたくない
許す事の出来ない
男がいた
男「…」
寛一「…お前」
男性「お久しぶりです、久遠さん…」
寛一「…」
葉子「この人…」
自分から愛する人を葉子を奪った男
その張本人が目の前に
立っていた
葉子「寛一、この人…」
寛一「黒田正行、あの日、何の罪もない
葉子を見殺しにした殺人犯だ」
正行「…」
…
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