ペットではなく家族です。
第8章 アポロの決断
香織「…あっ」
ユリ「…」
香織「ユリさん、こっちです」
ユリ「…久しぶり」
香織「お久しぶりです…」
ユリ「…」
香織「あ…っ…」
あの日
香織が電話した相手
その後、かかってきた電話の相手
どちらも香織が働いていた店のNo.1
ユリだった
香織「すいません、急に電話して」
ユリ「どうして私の連絡先、知ってたの
私、あなたに」
香織「前に店でユリさんの名刺を見た時
があって、その時に番号を」
ユリ「ふ~ん、それで私にお願いって何
まさか店に戻りたいとか言わないわよね
言っとくけど」
香織「店の事じゃないんです」
ユリ「…」
香織「店に戻る気はないしキャバクラで
働く気もありません」
ユリ「じゃあ何」
香織「…お金を…貸してほしくて」
ユリ「お金?」
香織「私、頼れる人いなくて…もちろん
金融業者に行こうって思いました、でも
それだけは出来なくて…」
ユリ「…」
香織「貯金も底をつきかけて早く仕事を
見つけようって頑張ってるんですけど、
なんの資格も取り柄もない私は採用され
なくて…」
ユリ「…なるほどね」
香織「…」