ペットではなく家族です。
第9章 クロ様の場合
それからの事はよく覚えていない
朱美「…」
ただ気づくと旧校舎にいた
荷物は何一つなく靴も履かず靴下のまま
鞄も家に忘れてきてしまい
財布もなく…
朱美「…痛っ」
靴下で歩いたせいか足の裏は擦り切れ
土が傷口から中に入り
変色していた
朱美「…はぁっ」
洗い場で足を洗い
靴の代わりに上履きを履くと
朱美は人目を避けるように旧校舎の中へ
入った
朱美「…お腹空いたな」
最後に食べたのは
昨日の昼過ぎに菓子パンを半分
お金もないし頼れる人もいない朱美には
苦しい時間が続いた
朱美「これからどうしょう…とりあえず
仕事探さなきゃ…」
住む場所はある
だけど問題は食べ物だった
とりあえず何でもいいから仕事を探して
その日暮らしでもいいから
お金を稼がないと
朱美「とりあえず…!!」
カラス「…」
朱美「君、もしかして昨日の…」
カラス「…」
どこから入ったのか
目の前に昨日のカラスがいた
まだ少し足のケガを気にしてるようだっ
たが
傷口からの血は完全に
止まっていた