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第19章 新展開

帰りの車の中でも 梶原は 名残惜しそうに 舞を見つめ 手をギュッと握りしめながら 運転していた。

舞は 何故か 胸騒ぎがした。

これから 何か 最悪な事態が起こりそうな気がして ザワザワと落ち着かなかった。

… とにかく…やっぱり…雄介とは 距離を置こう…

付き合うにも 隣同士の家なんて 危険過ぎる。

お互いの家族にも バレてしまうのは時間の問題だ。

ましてや 雄介は 離婚してもいいとか 自分中心でしか 考えてない。

奥さんから 電話があった事で 徐々に冷静になって来た。

舞は 自宅の近くの駅の 二駅前くらいで ここで降ろしてと言った。

梶原は とても 寂しそうに 落ち込んだような目を舞に向け 抱きしめてくる。

「 舞… また 落ち着いたら ゆっくり会おう… 連絡するから。
ネックレスも 付けてな!」

「…うん…わかった…」

舞は 梶原とは 目を合わせず 急いで抱きしめる腕を解くと 車から降りた。

「…あっ… 舞‼︎ ちょっと 待って…」

そう制止する 梶原の言葉を 無視して 駅の方へ かけて行った。

梶原は 抱きしめていた 自分の手の平を 見る。

… 舞…舞… 変な事 考えるな… 別れたりしないから… また すぐにでも 抱きしめに行くから…

梶原もまた 胸騒ぎがし それをかき消すように 呟いた。

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