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甘く、苦く

第67章 大宮【just a little】

大野side



ちゃぷん、と音を立てた。

ふたりで風呂なんてのはひさしぶりで。

つーかまず、ニノとの風呂自体
なかったし。

帰る時間もバラバラだし…


「な、智、」

「ん?」

「…来年も再来年も
こーやっていれたらいいよなぁ…」

「んふふ、そだね」


急にそんなこと言い出すから
また不安が募る。

……俺には、

今の俺にはニノしかいないのに…


「…そだ。
またどっかいこーぜ」

「…いくとこないじゃん。
すぐバレるよ。」

「いーんだよ、そういうの。
地方でいーじゃん?
俺東京から出てーや」

「…ふぅん。」


俺は別にどこでもいい。

だってニノがいるから。


ニノがいりゃ、俺どこだっていいよ。

そんなこと言うと、
多分また調子に乗るから
その言葉は呑み込んで。


「…ニノが行きたいところでいいよ」


って、遠まわしに思ったことと
同じようなことをいつもの笑顔で
言ってやった。


ー終わりー

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